手先が器用、
センスがいい、
と、いうのは、まったく持って羨ましいことである。
こればかりは
望んでも手に入れられない、
努力しても叶わない
神様からのギフトだと思う。
ウチの叔母は、とても美しい人である。
そしてまた、この貴重なギフトを贈られた人でもある。
幼い頃から、彼女の着こなしや持ち物にどんなに憧れたことだろう。
”ちょっと趣味で”始めたアートフラワーで
飯田深雪に認められ、長くスタジオに勤めていたが
時折母に贈られてくるコサージュは
それはそれはため息が出るほど綺麗なものだった。
今回、ウチの売店用におねだりしてつくってもらったそれらは
いとおしそうに作る姿までが目に浮かぶ逸品です。
各1,800円で販売いたします、
どうぞ、ご覧になってくださいませ。
わたしは真っ赤なりんごですぅ~、と
歌でも歌わないとできない作業。
そう、
それは50を超えるりんごの皮剥き。
板前さんたちの作業の邪魔にならぬよう
お昼休みに入ってから、厨房で一人、
もくもくと皮を剥く。
親指がつり、両手がしわしわになる頃、やっと終了。
あとは、煮るだけ。
ここからはスピード作業。
「オイシクシテ・オイシクシテ」
「モットオサトウ・モットオサトウ」
「シナモンイレテ・シナモンイレテ」
りんごたちの声に耳を澄ませ、
美味しい仕上がりまで、あと一息。
館内に広がる、甘酸っぱい香りも
美味しさのうち。
召し上がる方の笑顔を想いつつ
ジャムを煮るのは、本当に楽しい。
秋の雨降り、ジャム作りにはうってつけの一日です。
私がこの世に生まれてからの音の記憶は
ひょっこりひょうたん島や、鉄腕アトムのテーマソングとともに始まるのだけれど
生まれて初めて音楽を聴いて、胸がつぶれそうになったのはもっと後。
心臓をまるでわし掴みされたようで、息苦しくなって目の前が真っ暗になった。
それが私の初めての音楽の記憶。
その曲は、ビートルズのカムトゥギャザーだった。
当時、うちには「チーム慶応・ザ・イソウロウ」という、
大学に行っているのかいないのか、雪が降ればやってきて
明けても暮れてもスキーをやっている学生がごろごろ、居た。
夕方になるとウチのバーに集い、お客様相手にスキー談義。
コーヒーと、煙草と、ウイスキーの匂いが立ち込めるそこは
私にとって、憧れの大人の世界だった。
その中で、下っ端の部類の三人組がいて
大きいオニーサンやオネーサンに、コドモ(私)のお守りを押し付けられ
宿題をやらされ、ゲレンデに付き合わされ、それでも季節になるとやってくる
彼らに会えるのがどんなに楽しみだったことか。
それぞれが大人になり、しばらく音信が途絶えていたのが
子育てや、仕事が少し落ち着いたこの頃、連絡が取れるようになり
このたび2/3が、奥様連れでやって来た。
「こーゆーことがあるから、宿屋はやめられない」といった人の
気持ちが少しわかった気がした。
それぞれの“いま”が、“あのとき”につながっている、
そんな嬉しさを、たっぷりと頂いて、
次から次へと私の音楽の記憶が甦る。
いつか3/3になるといいな、
そしたらBGMは、アビーロードとサンタナのブラックマジックウーマンです。
One and one and one is three
Come together right now over me.