きこえる、
遠くから、
近づいてくる、
小さな足音が
確かにきこえる。
朝、起きぬけの台所の水たまり、
昼過ぎの、ひそやかな日陰の隅、
逢魔が時の杉木立の薄闇、
ときおり強くなる夜の風、
ふと、止まる時間に
意識の外から入り込んでくる、小さな足音。
それを“秋”とよぶのは、早すぎるでしょうか。