赤倉で、夏一番手に聞こえる蝉の声は、ヒグラシ。
多分他の土地では夏の終わりになると鳴きだす蝉だと思う。
最初は
「え、夏、終わり?!?」、とびっくりしたけれど
今では慣れたもので、
「おぉ、夏が始まるなぁ」と思うようになった。
遠い昔、小学生の頃の夏、
濡れた髪と、心地よい疲れに身体を揺られながら
かすかに残る塩素の香りを纏い、友人たちと歩くプール帰り、
カナカナカナと鳴く蝉の声に
夏休みの終わりを感じていた。
真っ黒に日焼けして、ゴボウみたいな足をした少女たちが
ゆらりゆらりと歩く城下町の情景を
ヒグラシが思い出させてくれる夕暮れ時です。