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若女将のアボカド通信

空っぽの本棚

小さな頃から、本が好きだった。

お小遣いをもらっては、町の本屋に行くのが楽しみで、

夜通し、空が明るくなるまで読み続けてしまい

真っ赤な目と、大きなあくびで登校したのも

一度や二度ではなかった。

旅行に行くとき、トランクの半分は本だった。

読んだ本も置いてこられなくて

帰りの荷物は石を入れたみたいに重かった。

電車の移動は大好きで、

本に夢中になって乗り過ごす事だけが心配事。

 

子供が生まれてからは、“絵本”に出会い、

初めて出会う作家たちの、素晴らしい作品に触れ

読み聞かせと称して、何冊も何冊も、夢中で読んだ。

 

そんな小学生から読んできた、私という人間を作った

本棚を、空にした。

 

今回のコロナ事情で、図書館まで閉鎖になり

本を手に取ることをも奪われた子供たち。

おばあちゃんと図書館へ行き、

外からこの本、あの本、とやっと借りられた子供の笑顔と

以前から、心の片隅にあった想いが、一つになった。

私が心を震わせたように

この本たちが喜ばせられる相手が

もっといるのではないかしら。

そして、もっと読まれたい、と、

訴えてくる声が、聴こえた気がした。

 

大切に、この思いを届けてくれる人と出会い

本棚を空っぽにした。

 

しばらくは、空の棚を見るたびに心が痛み

涙がこみ上げるときもあり

図書コーナーを避けて通っていたけれど

今は、どこかで手に取られて

誰かを笑顔にしている、幸せな本たちの姿が見えてきた。

 

さて、またこれから

私の心のお糧となる本と出合えることを楽しみに

そしてまた、本棚がいっぱいになる日が来るように

たくさんの本と出合いましょう。

 

しばらくは、お出かけの際、ご自身の本をお持ちください。

読み終わった本がございましたら、ご寄付いただけると嬉しいです。

皆さまも、これからたくさんの本と出合えますように。

 

 

 

 

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