毎年この時季、軽トラに乗って、板前たちが出かけていく先は
上越にあるTさんの畑。
取り残して越冬させた野菜を収穫に行くのだ。
この白く可憐な花の先についている大根は
見かけはとても悪いけれど、
皮を厚く剥き、生で食べると、ぎょっとするほど、甘い。
ほうれん草は外側の黄色くなった葉を取って、
さっと湯がくと、まるでお砂糖をまぶしたように、甘い。
これらはきっと、食べたことのない人には
想像が出来ないくらいの、ものすごい甘さなのだ。
これは、凍えた土の中で凍死しまいと、自ら糖分をだし、
身を守った野菜が持つ、たくましい自然の甘さ、
生きていこうとする野菜の、したたかなほどの力強さを感じる甘さなのです。
新しい春をむかえ、大地の息吹きを感じ、
今日も元気に、丁寧に。