人間の味覚はなんて不思議。
昔々に食べた味、覚えてなんかいないと思っていたのに
口に入れた瞬間に、その時にフラッシュバックする。
「赤坂・青野」
の赤坂もち。
旧リキマンションにあった事務所から
歩いてすぐのこの店の
お菓子が買いたくてって、食べたくって、
でも、コムスメには敷居が高く
何度前を通り過ぎたことか。
意を決して暖簾をくぐったものの
生菓子が買いたかったのに、雰囲気に圧され
やっと買ったのがこの赤坂もち。
あのときの、街の匂いや、人の動きが
急にフラッシュバックして、
胸がきゅううぅぅぅぅぅっと痛くなった。
黒蜜と、胡桃と、黄な粉が
こんなにも美味しいお菓子になるのかと
目をまん丸にしたワタシが、
目の前に現れて、かき消えた。