1985年8月12日、夕刻を過ぎているのに暑さは収まらず
汗をびっしょりかいていた。
呉市の友人宅からの帰り、羽田空港に降り立つとやけにざわめいていたけれど
前日連れて行ってもらった宮島で買った、お土産の紅葉まんじゅうが嬉しかった。
当時住んでいた杉並・永福町に戻り、ニュースで日航機の事故を知る。
実に25年ぶりに頂くもみじまんじゅうは
苦いような、甘いような、切ない思いのあの空を運んでくる。
当時はなかった色々な味。
そっと割ると、ふうわりとしたカステラ状の皮から、夏がとけでる。
口に含むと、あの夏の味が、たしかに、した。