ウチの板前のTは、中ノ俣(ナカノマタと読む)という村の出身。
そこの田んぼで自生しているクレソン。
一度だけ連れて行ってもらったそこは、まるで昔話そのまま。
かつて馬を飼っていたという土間に入ると、かすかに匂う土と草、
左手には、村の皆や親戚が集まったであろう、囲炉裏がきってある広間、
高い天井には、取り外された自在鍵の跡、
鴨居にはモノクロの祖父母たち・一族の写真が並ぶ。
そこで今、2人っきりの生活をしている彼の両親の顔は
長年の田畑の世話で陽に焼かれ、深いしわにおおわれている。
私を迎えた日、しわの奥の瞳の穏やかさに、圧倒された。
彼らの田んぼは今、新幹線の支柱工事で水の危機にさらされている。
そこで自生しているクレソンを、
たびたびTは運んで来る。
それは、中ノ股の、風と水の味がする。
クレソンとカッテージチーズのそばつゆあえ
いたずらに和風にしたのではなく、目からウロコの美味しさ。
生では食べないうちの子たちも、モリモリ食す。
ゼラニウムって、実は苦手な花でした。
それが最近思いを変えました。
なぜって、
松本で、老舗フランス料理店を営む大叔父は
ヨーロッパが大好きで、かの地の窓辺によく飾られているこの花と、
庭に咲き誇るライラックが、大のお気に入り。
ライラックはウチの庭も良く映えるので、すぐにも植えましたが
正直ゼラニウムはね・・・・と、思い
母がせっせと鉢植えするのを横目にみていましたが、
ウチの廊下で、雪の白さをバックに、冬の陽ざしに照らされている姿を発見。
とても美しい。
長い寒い冬の、雪が降る薄暗い日に、
この花を愛でる人々の気持ちが、すこしわかった気がしました。
本日は晴天なり
・・・・・と
気になるのは
未だ雪囲いの中の『紅葉山人碑』
の
足元の
コロンとへばりついている
あ、かわいい
と、思ってるアナタ
一度食べると病み付きになり
あ、美味しそう
と、なりまする。
今日はお日帰り席のTさまのお膳に
春の神さまに感謝しつつ、「いただきます!」。
さて、
先日より、地場産のやさいの美味しさにほれ込んで
新しいページを立ち上げました。
名づけて
別名『若女将のslow food通信』。
こちらもどうぞのぞいて見てください。
春から香嶽楼でお出しする農家直送野菜献立レシピをご紹介するブログです。
はてさて、どんなブログになることやら。
どうぞお楽しみに!